鹿塩の七不思議

大鹿村、鹿塩地区には「鹿塩の七不思議」と呼ばれる伝説があります。静寂な自然の中で、かつての伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

(1) 夜泣き松

河合集落にあるアカマツの大木。吉良親王に仕えていた美弥姫が、娘の夜泣きに悩んでいたところ、村人の夢枕に観世音菩薩が立ち「この松の小枝を枕元に供せば夜泣きが止む」と教えて下さった。その通りにしたら、夜泣きが止んだと伝えられる。ここから、この松の木の樹枝、あるいは葉を夜泣きする子供の枕の下に入れて寝かすと夜泣きが止まると言い伝えられている。

(2) 逆さ銀杏

入沢井集落にある公孫樹の古木。火災・落雷等の災禍に遭い、根元の部分が残っているのみであるが、枝が下方に垂れ下がり逆になっているように見られ、伝説には弘法大師が諸国遍歴の際、突いてきた杖を地面に突き立て置き忘れたものが根づいたものだと言い伝えられている。

(3) あくなしわらび

黒の田、南山の一部に群生するわらび。あくぬきをせず、そのまま煮てたべられる。

(4) 猫のノミ

この谷の猫にはノミがいない。ここで生まれた猫の子はどこの土地へもって行ってもこの猫一代はノミがつかないと伝えられる。

(5) 八つ鹿

その昔、猟師が群れをなしている八匹の鹿のうち一匹を射ち殺して持ち帰り、翌日またその付近へ猟に行くと、昨日一匹とったのに八匹の群れをなしており、何匹とっても次の日は八匹になっていた。

(6) 大池の膳碗

笹山地籍にある自然池。昔客寄せのあるとき、その前夜大池の端に立って、何人分の膳碗が必要だから貸してくださいと頼んでおき、翌朝行ってみると池の端には朱塗りの膳碗がちゃんとそろっており、用が済むと礼を言って元のところへ返し、村の人たちは冠婚葬祭など人寄せのときはこれを利用していたが、あるとき借りてきたお椀を過って一つ壊してしまい返すことができずそのままにしておいたところ、その後いくら頼んでも貸してくれないようになったと伝えられている。

(7) 塩の湯

伝説には建御名方の命の発見とか、弘法大師諸国遍歴の際、この地の人々が塩がなく苦しんでいるのを聞きこれを哀れみ、突いてきた杖の先で地面をつついたところ、ここから塩水がわき出ずるようになったと伝えられている。 (出典 大鹿村史下巻、大鹿村ガイドマップ)