福徳寺本堂薬師如来・阿弥陀如来坐像
薬師・阿弥陀両像はその大きさ、おっとりとした面貌などの穏和な作風、一木造りで内刳りを施さない簡古な構造などが共通しており、一具同作と認められる。地方色の濃い素朴な像だが、その作風や構造から平安時代後期12世紀の制作と推定される。現存の福徳寺本堂(国指定)は様式的に鎌倉時代末から室町期のおおむね14世紀頃の建立とされているが、その創建は平治2年まで遡るとみられる。その本尊薬師と阿弥陀は、両脚部が後補に変わるが、平安後期様式を示しており、その造立年代を堂の建立年代に合わせることは困難である。台座墨書にいう当寺創建の平治2年も可能性として十分あり得るものと思われる。福徳寺の平治2年創建時本尊の可能性が考えられることは、当時の歴史上たいへん貴重でその歴史的価値は高いと言えよう。(実践女子大学武笠朗氏所見)平成18年長野県有形文化財に指定される。